不動産の登記

不動産の登記・取得にかかる費用及び税金など

不動産登記をすると、「対抗力」「権利推定力」「形式確定力」の3つの効力が存在するようになり、それらが機能することにより。不動産取引の安全の保護と円滑化が図られています。
 対抗力とは、不動産登記をすれば、第三者に対し、その不動産の所有権や抵当権などの様々な権利を主張することができます

民法第177条
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成16年法律第123号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

しかしながら、行政書士は登記申請代理業務を行うことは業際違反ですので、登記の書類作成や申請代理をすることはできません。ですが、ご依頼いただく不動産相続、農地売買など不動産関連の所有権移転までに必要な書類作成(贈与契約書、売買契約書、遺産分割協議書等)はできますので、無事に手続きが完了するまで案内します。

登記をするには、原因が必要
主な原因5つ・・・売買、贈与、相続、遺贈、財産分与、交換、 時効取得
行政書士はこれら原因に必要な契約書、遺言、遺産分割協議書などの書類を作ることができます。これらの作成した書類と収集した必要書類等と共に司法書士へ登記の依頼をします。

原因 行政書士が作成できる書類 登記に必要な書類
売買 土地売買契約書、農地法3条(農地売買契約書)など 不動産全部登記事項証明書、農業委員会許可書
贈与 生前贈与契約書、死亡原因贈与契約書など

不動産全部登記事項証明書、印鑑証明書、住民票など

相続・遺贈 遺言書、遺産分割協議書 戸籍謄本、固定資産税評価通知書など

登記に掛かる費用(税金)

相続の登記と、贈与や売買の登記の免許税の税率は、相続0.4%、贈与、売買2%と4倍になります。
 ただ、相続まで待てない理由や、自由に誰かにあげたい時など、場合によることでしょう。

相続が原因の登記の場合の登録免許税価格
不動産の評価額× 0.4%(相続登記における登録免許税の税率)
相続登記登録免許税
例)土地評価額¥1,000万円×0.4%=¥40,000円
贈与が原因の登記の場合の登録免許税価格
不動産の評価額× 2%(相続登記における登録免許税の税率)
贈与登記登録免許税
例)土地評価額¥1,000万円×0.2%=¥200,000円
上記の金額に司法書士報酬が¥50,000~¥100,000円ほど掛かります。
それに、行政書士の書類作成報酬¥10,000~¥100,000円が掛かることになります。

令和6年4月1日から、相続登記の申請が義務化されました。

  1. 相続(遺言も含みます。)によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。
  2. 遺産分割が成立した場合には、これによって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、相続登記をしなければなりません。

 (1)と(2)のいずれについても、正当な理由(※)なく義務に違反した場合は10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の適用対象となります。

 なお、令和6年4月1日より以前に相続が開始している場合も、3年の猶予期間がありますが、義務化の対象となります。不動産を相続したら、お早めに登記の申請をしましょう。

登記手続き以外に掛かる費用

相続税

相続遺産が基礎控除額(3,000万円+(600万円×法定相続人数))を超える場合 超えた額×税率-控除額

相続税の速算表
課税価格 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

 

不動産取得税

相続以外で不動産を取得した場合 、相続での不動産取得には税金が掛りません。
*相続時精算課税制度を利用して、不動産を取得した場合は贈与税の課税対象となります。相続時控除

不動産取得税=手に入れた不動産の課税標準額 ×下記 税率

種類 税率
土地 3%
家屋(住宅) 3%
家屋(住宅以外) 4%
所得税

不動産を売却した場合 

区分 所得税
長期譲渡所得(譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超える) 15%
短期譲渡所得(譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年以下 30%
固定資産税・都市計画税

    一般的な【固定資産税評価額】×1.4%

▼住宅用地の特例の軽減率

面積 固定資産税 都市計画税
小規模宅地(200㎡以下) 固定資産税の1/6 固定資産税評価額の1/3
小規模宅地以外(200㎡超え) 固定資産税の1/3 固定資産税評価額の2/3

以上の様に相続や遺贈、贈与など不動産を取得し管理していくには様々な税金が課されています。
そして、2015年から空家対策特措法が施行され、遠方に生活の拠点があり管理できない実家や土地が一定の条件に当てはまる場合固定資産税が6倍に上がることになりました。また、令和5年(2023年)には、空き家の状態が極めて悪くなる前に、悪化の防止を図るための仕組み(管理不全空き家)を創設するという主旨の改正が行われました。

2015年5月に空家対策特別特措法が全面施行されました。

空き家を放置すると固定資産税が6倍になることも
  • 固定資産税が掛かる空き家を解体しても、今まで住宅用地であった土地は「住宅用地の特例」の適用外となるため固定資産税があがります。家の評価額が高い場合は掛かっていた固定資産税と上がった分の固定資産税が相殺されるため、さほど変わらない場合もあるそうです。
  • 解体しなくとも特定空き家に指定されれば上昇する
    ▼特定空き家とは 出典:空家等対策の推進に関する特別措置法|e-Gov法令検索
    ・放置すれば倒壊する恐れがある
    ・保安上危険となるおそれのある
    ・衛生上有害となるおそれのある
    ・適切な管理不足によって著しく景観を損なっている
    ・周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である

そうなるのには、相続がうまくいっていない、そもそも手続きがわからない、面倒だ。などの原因があります。もし、相続がうまくいっていれば使えそうな特例もあります。

放置されている、またはされそうな実家(家)を売却する場合に使える特例

・空き家特例(3,000万円特別控除)

*令和9年12月31日まで延長
空き家となった(空き家となる前一人暮らしかつ、老人ホームへの入所後、空き家になった後賃貸や事業に供していないこと)被相続人のお住まいを、相続開始日から3年経過する年の12月31日までに相続人自らが、耐震基準を満したか又は取壊しをした後にその家屋又は敷地を譲渡した場合には、その譲渡にかかる譲渡所得の金額から3,000万円を特別控除することができる。
 令和6年1月1日以降、耐震基準に関する要件が緩和され、空き家を購入した人が、譲渡の翌年の2月15日までに耐震リフォームの実施、または空き家の取り壊しを行う場合は、現状のまま譲渡することができます。

・マイホームを売ったときの特例

個人が、居住用財産(その人の住宅と敷地または借地権)を譲渡(売却)した場合には、その譲渡所得(売却益)の金額から、最高3,000万円まで控除できます。

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